働き方改革の実情 それは残業時間の短縮だった

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IDC Japanは1月17日、2016~2021年における国内の「働き方改革ICT市場」について詳細な成長予測を発表しました。「働き方改革」の実施目的としては「残業時間の短縮」と「労働生産性」の2つが上位に挙がっています。ただし、具体的に実施している内容を見ると「残業時間の短縮」だけが突出して多いのが実態です(およそ50%)。


「働き方改革」の具体的施策では「残業時間の短縮」だけが突出

「働き方改革」の実施目的としては「残業時間の短縮」と「労働生産性」の2つが上位に挙がっています。ただし、具体的に実施している内容を見ると「残業時間の短縮」だけが突出して多い(およそ50%)という結果が出ました。それ以下も、労務/人事制度面での施策が続いています。

では、ICTが直接的に資する施策となると、なんとその実施率はいずれも10%前後の実施率にとどまっている状況です。つまり、ICTにはまだ目が向けられていないということでもあります。

ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略であり、IT(Information Technology)とほぼ同義の意味を持つが、コンピューター関連の技術をIT、コンピューター技術の活用に着目する場合をICTと、区別して用いる場合もある。国際的にICTが定着していることなどから、日本でも近年ICTがITに代わる言葉として広まりつつある。

在宅勤務やリモートワークなど柔軟な働き方を可能にするうえで必須となる社外からの業務アプリケーション利用がどの程度可能になっているか(または今後可能にするか)の調査では、最も割合の高い「Eメール」ですら60%程度にとどまり、「会議システム」や「スケジューラー」は40%程度という調査結果となっています。

企業の頭の中には「柔軟な働き方を実現する」という目標はあるものの、それを実現するための具体的な施策の段階にはまだ踏み込めていないと見えます。

それを裏付けるのが、企業IT部門の決定権者に対する「業務PCの持ち出しルール」に関するアンケート調査結果です。

同調査では、60%以上の企業において、PCの持ち出しを原則禁止する/制限するルールが敷かれているという結果が出ています。特に大企業(従業員500人以上規模)においてその傾向が強く、80%近くの大企業で原則禁止/制限されています。

禁止/制限されている理由は、セキュリティリスクもさることながら労務管理上の問題が大きいことがその理由です。

つまり、持ち出しPCを自由にすると、自宅での仕事(持ち帰り残業)がコントロールできず、残業時間が増えてしまい、結果として労務管理上で煩雑な問題が出てくるというものです。

法改定によって裁量労働制の拡大などが実現すれば、持ち出しを禁止している企業も許可に向かう可能性も出てくるかもしれません。

たとえPC持ち出しを禁止しても「持ち帰り残業」は多発している

前述した見解は経営側の視点であり、必ずしも現場の実情に即しているとも言えないようです。現場のユーザー(ワーカー)に対する別のアンケート調査では、PC持ち出しの可否に関係なく、持ち帰り残業が多発している現状も明らかになっています。

ノートPCを中心に利用する企業ユーザーへのアンケート調査によると、月に1回以上、自宅で会社の業務を行うとした回答者は50%を超えています。そのうち、「会社支給のPC」ではなく「自宅のPC」「会社でも利用している自分のPC」で業務を行うとしたユーザーは65%以上に及びます。

さらに、持ち帰り残業で自分のPCを使う理由については、40%以上のユーザーが「会社のPCが持ち出し禁止であるため」と回答しています。

PC持ち出しを禁止しても結果的に持ち帰り残業は発生しており、むしろ個人管理のPCが使われることでセキュリティリスクの増大が懸念される結果となっています。

結果からすると

ただ単に残業時間をカットする、強制的に帰らせるということが頻繁に行われたという結果がはっきりとわかってきました。特に大企業では、そうした(残業抑制の)ルールが作られているようです。しかし、実際には仕事の量は変わっておらず、労働生産性も向上していないために、ワーカーは自宅で仕事をせざるを得ない。そうした実態が浮かび上がりました。

「働き方改革」だけでなく高度なICT戦略実行のための“試金石”になる

現状ではほとんどの企業が「残業時間の短縮」という目標への取り組みに終始しており、まだ「柔軟な働き方」や「生産性向上」を実現するための、ICT導入を含む抜本的な取り組みの段階には至っていないようです。

定量的に実施効果の測りやすい残業時間短縮の取り組みと比較して、特に生産性向上の成果は可視化しにくく、そのため、予算を確保したり社内の広範な協力を得たりするうえで障壁があることがその理由のひとつです。

それに加え、企業が残業時間短縮の目標達成後、次の段階である生産性向上のためのICT導入に進むかどうかについては、残業時間の短縮は社会的な要請であり、必須かつ緊急の取り組みとなったが、ICT導入による生産性向上は長期的な視点が求められ、成果も予測しづらいからです。

そのためにもICTベンダーは今後、働き方改革のユースケースを積極的に公表して継続的に啓蒙を図るとともに、期待できる成果を数字として提示していく必要があります。

また同時に、企業においては、ICT導入/活用以外の取り組み、具体的には企業文化や人材、評価制度、勤務形態など広範な領域での改革も視野に入れる必要があります。

企業がICT導入によって働き方改革を進められるかどうかは、その企業がデジタルトランスフォーメーションなど、今後求められる新しいICT戦略を実現できるかどうかの試金石になります。

余談ですが

この4、5年の“ITレボリューション”はすごい勢いで進んでいます。

ICT導入による働き方改革、生産性向上の取り組みを実行できるかどうかは、これからさらに加速するITレボリューションについていけるかどうかの試金石になるでしょう。

それに気づき、しっかりと理念を持って(働き方改革を)やっていければよいのですが、理念という土台がなく、たとえば”AIソリューション”を単体で持ってきてそのポテンシャルを使い切れるかと言われると、結果的には難しいとうことになるでしょう。

 

お時間のある方に

 

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